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魚のいない池で釣りをするな

業種ごとに採択率はまったく違う

「うちの業種でも補助金いけるんやろか?」
これは経営者から本当によく聞かれる質問です。世の中には補助金の記事やニュースが山ほどありますが、「全国平均の採択率は◯%です!」なんて数字ばかり。あれを見て安心している人、要注意です。現場にいると「いやいや、それ全然参考にならんやん」と突っ込みたくなるんです。なぜかというと、実際は業種ごとに採択率がバラッバラだからです。
例えばものづくり補助金。国としては「日本の技術でGDPを押し上げたい!」という狙いがあるから、製造業は大歓迎です。採択率も高めで、設備投資の話を書けば「ほうほう、いいねぇ」と審査員の目も光ります。でも飲食や美容が同じ調子で申請すると、「いやそれ、ものづくりちゃうやろ」と見られて苦戦することが多い。実際に「なんで落ちたんやろ?」と首をひねる人は、この相性を理解してないケースが多いんです。
省力化投資補助金も同じ。人手不足が深刻な建設業や製造業は「機械を入れて効率化しなさい」という国の思惑にピッタリ合うから、採択されやすい。ロボット導入や自動化設備の計画はポイント加算のようなものです。でも「コピー機を一台追加したいんです」とか「スタッフの椅子を新調します」みたいな計画では、「いやそれ、省力化ちゃうやろ!」と突っ込まれるのがオチです。
一方で、小規模事業者持続化補助金はオールマイティ。飲食、美容、小売…いろんな業種に門戸が開かれていて、初めて補助金に挑戦する人にはちょうどいい。金額は控えめですが、まさに「補助金の練習試合」。一度挑戦してみるには最高の制度です。
そして最近注目されているのが新事業進出補助金。まだ始まったばかりですが、地域経済を元気にしたいという国の狙いが見えているので、地方で新しい挑戦をする事業には追い風が吹くでしょう。逆に都会のど真ん中で「新しいカフェ始めます!」と書いても、国からすると「いや、それ地域活性化か?」と見られる可能性が高い。
こうして整理するとよく分かりますが、補助金は「全国平均で◯%」みたいな単純な話じゃなく、業種と制度の相性で採択率が決まるんです。魚が全然いない池に糸を垂らしても釣れないのと同じで、最初から魚がたくさんいる場所を選ばないと勝負になりません。

採択ゴールじゃなく、事業を動かしてナンボ

ここで次に多い質問が「じゃあ誰に相談すればいいんや?」というものです。税理士さん?商工会議所?それともコンサル?
税理士さんは数字のプロですが、事業計画を物語のように組み立てて審査員に刺さる文章を書くのはまた別のスキル。商工会議所は親身になって相談に乗ってくれますが、全部の補助金を把握していて戦略的に導けるかといえば限界があります。
さらに厄介なのが「なんちゃって補助金コンサル」。実績も経験も薄いのに名乗れてしまう。採択されるまで手伝って「はい終わり」、その後の事業化のフォローは一切なし。結果として「採択されたけど辞退しました」という企業も少なくありません。これではせっかくの補助金が水の泡です。
そもそも国が補助金を出すのは、最終的に税収を増やすためです。省力化投資補助金で生産性を上げれば人手不足を補える。ものづくり補助金で設備投資を促せば国内産業が強化される。新市場を開拓すればGDPが伸びる。表向きは「企業支援」ですが、裏では「将来税金で回収できる仕組み」をしっかり設計しているんです。
だから僕は声を大にして言います。補助金は「採択されたらゴール」ではない。「事業を動かして結果を出すこと」が本当のゴールなんです。採択率ばかり気にしていても、その先を走り切らなければ意味がない。

補助金は半額チケット、でもゴール後に国が待っている

ここまで話してきましたが、補助金をわかりやすく言うなら事業投資の半額チケットです。みんなが100メートル走を全力で走る中、「君は50メートルでいいよ」と言われているようなもの。そりゃお得ですし、他より有利にゴールできそうに見えますよね。
でも本当に大事なのは走り切ること。補助金に採択されることはあくまでスタート地点を有利にしてもらっただけで、ゴールは「事業を軌道に乗せて成果を出すこと」。
そして忘れてはいけないのが、ゴールの先には国がちゃんと待っているということ。後ろから「お疲れさん、じゃあ税金で回収させてもらいます」とやってくる。これが現実です。
だから補助金は“タダでもらえるお金”ではなく“仕掛けられた投資”。でも経営者から見れば、正しく使えば圧倒的に有利なスタートラインでもあります。
「この計画、採択ラインに届くんかな?」と迷ったら、まず補助金の無料診断を試してみてください。採択率の目安を知るだけで、戦う場所が魚のいない池なのか、魚が群れをなしている海なのかが見えてきます。
魚のいない池で何時間も待つか、魚だらけの海で竿を出すか。補助金選びもまったく同じなんです。

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