「補助金を使ってみたいけど、何から始めればいい?」という相談をよく受けます。ここでは、製造業で「生産性向上のために設備を導入」するケースを例に、全体の流れを一気に俯瞰できるようにまとめます。
設定は【製造業/課題:生産性が悪い/制度:中小企業省力化投資補助金(補助率2/3想定)】です。まずは全体像をつかんで、ムダなく最短ルートでいきましょう。
[フェーズ1] 調査
・どんな機械があるか(性能・価格・納期を比較)
・この投資に合う補助金があるか(対象要件・補助率・スケジュール)
・補助金を前提に銀行へ融資相談(資金計画と返済計画の初期すり合わせ)
[フェーズ2] 計画書作成・申請
・GビズIDの取得(取得済みなら不要)
・公募要領を読み込み、必要資料を準備(事業計画・見積・決算書等)
・「生産性がどれだけ上がるか」を数値で可視化して電子申請
※ここでわかりやすさを犠牲にすると採択率がガクッと下がります。審査員は忙しいので、読みやすさ、わかりやすさ重視です。
↓(採択までの目安:約3か月)
[フェーズ3] 採択結果発表
・採択 → フェーズ4へ進む
・不採択 → 計画をブラッシュアップしてフェーズ2へ戻る(再申請)
※再申請は「書き直し」ではなく「組み直し」。同じ原稿の再提出はほぼ無意味で再度不採択確率は高い。
↓(採択通知後すぐ着手可能)
[フェーズ4] 交付申請
・見積依頼書を作成し、原則2社以上から本見積を取得
・交付申請一式を作成・提出(要件・仕様・スケジュールを具体化)
※この本見積金額×補助率が上限。ここでブレると後ろで詰みます。
↓(事務局と数往復:1~3か月)
[フェーズ5] 交付決定通知書発行
・ここで初めて「経費使用OK」
・銀行へ交付決定通知書を提出(このタイミングで融資実行が多い)
・設備発注・実施準備に入る
[フェーズ6] 事業実施
・設備導入・設置・支払い(振込明細・請求書は必ず保存)
・写真撮影(導入前/導入中/設置後)
・導入後は通常利用OK(ただし計画の範囲内での運用が大前提)
[フェーズ7] 実績報告
・支出エビデンス(請求書・領収・振込記録・検収)を整理
・成果(生産性向上の実績・稼働状況)をまとめて電子申請
※ここは丁寧さが命。抜け漏れ1つで往復が2つ増えます(体験談)
↓(事務局と数往復:1~3か月)
[フェーズ8] 確定通知
・確定通知が届いたら精算払い請求(振込先は多くが融資銀行口座)
↓(入金までの目安:約1か月)
[フェーズ9] 振込
・指定口座へ補助金が入金
・制度により1~5年の事業化報告(年次での実績・効果報告)が必要
ここまでが「補助金の標準フロー」です。最初から自力で走り切ると、最速でも半年~8か月は見ておくのが現実的。途中で不採択になると、そこからさらに+数か月~1年。「補助金の流れ」「申請方法」「電子申請のコツ」を押さえないまま突っ込むと、時間もメンタルも溶けます。時間は有限、ここはプロを使うと回収が早い領域だと思います。
よくあるつまずきポイント(対策メモ)
・《対象外経費》が混ざる…→公募要領の「対象経費」「補助対象外」を整理。
・見積が1社しか取れていない…→原則2社以上。仕様を揃えて依頼し、同条件で比較。
・「生産性向上」の数値が曖昧…→タクトタイム/人時生産性/不良率/稼働率など、前後比較を必ず数値化。
・スケジュールが机上の空論…→納期・据付・検収・請求・支払い・報告の日付を具体に。後ろが詰まります。
・銀行連携が遅い…→交付決定の直前に駆け込むと手戻り確定。フェーズ1から情報共有して融資筋を温める。
・実績報告の証憑が足りない…→請求書・領収・振込明細・検収・写真は都度保存。後から集めるのは地獄。
いくらで、どれくらい時間がかかる?(ざっくり感覚)
・計画~採択:3か月前後(募集回・混雑で変動)
・交付申請~交付決定:1~3か月
・導入~実績報告~入金:3~5か月
→全体で6~10か月が平均レンジ。不採択が挟まると+3~6か月。採択率は計画の質と「見られるポイント」を押さえられているかで大きくブレます。
専門家を選ぶときのチェックリスト
・採択後(交付申請~実績報告)まで伴走する体制があるか
・料金が相場から逸脱していないか(安すぎ・高すぎは要注意)
・過去の採択事例と、どこをどう改善したのかを話せるか
・「電子申請(Gビズ・ポータル)の実務」を実際にやってくれるか
・認定支援機関と連携し、金融機関との段取りまで見てくれるか
※資料作成だけで採択後知りませんってのは、一番コスパが悪いです。
まとめ
補助金は事業投資のレバレッジ。製造業の省力化投資なら、古い機械のまま粘るより、補助率2/3で新設備に切り替えた方が、人手不足・原価・リードタイムの課題を同時に潰せます。採択率は「読みやすい計画・筋の通った数値・適正な手順」で上がります。逆に、ここを外すと時間だけが過ぎます。
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「補助金の流れがわからない」「この設備は対象?」という初歩の疑問も歓迎です。最初の一歩を、間違えずに。


